美容室アムリタのアメカジ基地

アメカジ美容師のブログです。

ちょっと変化球なバブワー/コーウェン コマンドジャケット

こんにちは。今日も元気なアメカジ美容師アムリタです。

さて、今回は1982年にエリザベス女王から栄えある英国王室御用達の証であるロイヤルワラント(Royal Warrant)を与えられたバブワーのジャケットをご紹介しましょう。

……って、アメカジ美容師と名乗っておきながら、まさかのブリティッシュ

・そもそもロイヤルワラントって何?

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ロイヤルワラント(Royal Warrant)とは、直訳すると「王が許可した」とか「王室許可証」のような意味ですが、日本語的に分かり易く訳せば「王室御用達」となりますね。

そういえば日本でもよく「皇室御用達」というフレーズを見かけますが、1954年に制度として廃止されています。

 

さて、イギリスでは王族のメンバーが気に入っているアイテムの生産者に対して、ロイヤルワラントを示す紋章を付ける権利が与えられるようになっていて、バブワーの場合は

エジンバラ公フィリップ(1974年)

グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国女王エリザベス二世(1982年)

・プリンスオブウェールズ・現英国王チャールズ三世(1987年)

と、3つものロイヤルワラントが授与されています。

すげーなバブワー。

 

・バブワーとは?

バブワー(Barbour)は、ジョン・バブワー氏によって1894年に創業された野外防水衣料品を製造するアパレルメーカーです。

北海の過酷な環境下で働く漁師や水夫、湾岸労働者用に向けてオイルドクロスというコットンにオイルをたっぷり染み込ませた水に強い作業着を作っていたのですが、その防水性の高さ、品質の良さを買われ、第一次世界大戦から第二次世界大戦を通じて、主に海軍に戦時資材として防水服を提供するようになりました。

 

余談ですが、オイルを染み込ませて防水性や強度を高めた帆布をジャケットに転用したのがオイルドクロスの始まりだそうですが、最初期の頃は魚脂(フィッシュオイル)を塗ったくっていたそうですよ。確かに海で働く人々としては最も手に入りやすい油なんでしょうけども、メチャクチャ魚臭かったでしょうね……

 

話が逸れましたが、第二次世界大戦後の現在では、日本でも大人気なビデイル(乗馬用アウター)やビューフォート(ハンティングジャケット)などのスポーツウェアが主力となりましたが、バブワーの根っこにはミリタリーがある、って事で、このコーウェン コマンドジャケットですよ。

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・ディテールの紹介

コーウェン コマンドジャケットは、第二次世界大戦中に活躍したロイヤルマリーンズ(英国海兵隊)の着用していた軍服を、現代風に再構築したジャケットです。

 

ドイツの電撃作戦により本土上陸される一歩手前の危機に瀕したイギリス軍は、精鋭部隊ロイヤルマリーンズ(英国海兵隊)を組織します。

このロイヤルマリーンズは洋上勤務部隊ではなく、陸上行動を展開する海兵コマンド部隊だったので、このジャケットも地上戦を想定したディテールが見て取れます。

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襟元を閉めると、よりミリタリジャケットの雰囲気が出ますね。

スナップボタンとYKKジッパーで首元までピッチリ閉まりますが、カラーにコーデュロイが当ててあるので、それほど窮屈さや違和感は感じない。

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いかにも海兵隊っぽいネイビーカラーがイイ。

両肩のエポレットに、右胸のナイフポケットとホイッスルポケット、そして────

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ペンポケットに縫い付けられたユニオンジャックに、ロイヤルマリーンズのプライドを感じます。

・実はもう一着、オリーブドラブのも持っていたりする

 

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実はオリーブドラブのも持っていたりして。

ネイビーがいかにも海軍っぽいのに対し、オリーブだと陸軍の気配がビンビン感じられますね。

ネイビーが水上戦仕様で、オリーブが陸戦仕様。

ザクみたいっすね。

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生地の色調が明るくなったので、各々のディテールが浮き出てみえます。

ユニオンジャックのワッペンが付く位置がネイビーのそれと違いますが、これはロットの違いでしょうか。

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そして、ネイビー、オリーブに通じて謎の内ポケットの存在。

カッコいい金属プレートが縫い付けられていますが、何に使うポケットなんだろう?

詳しい方がいらっしゃいましたら、情報求ム。

 

・最後に

しかし、このコーウェン コマンドジャケットもそうですが、M-65フィールドジャケットとか、A-2フライトジャケットのようなミリタリアイテムを、ファッションとして楽しめるような時代に生まれ育ち、オレはホントに幸せだな、と感じています。

実際、高校生のウチの息子なんてピーコートやM-65がミリタリ由来とは知らないんじゃなかろうか?

 

ミリタリジャケットは、機能性と格好良さを追求した、道具としてもファッションアイテムとしても本当に魅力的な服です。戦闘機も戦車も軍艦も軍人さんも、みんなまとめてカッコイイ。でも、戦争はいかん。

蛍の墓」や「男たちの大和」、「永遠のゼロ」を観て、二度と戦争なんて起こしてはいけない、と思いながらも「トップガン2」を喜んで観てしまう矛盾を、どうしたって説明出来ない。でも、戦争はダメだと思う。

一刻も早く、世界情勢が平和な状態に戻りますように。