WESCO Jobmaster Vegetable Tanned Leather
【WESCO Jobmaster】
Leather:Vegetable Tanned
Sole:Vibram#100
パッと見ではバーラップとあんま変わらなく見えるベジタブルタンのジョブマスターですが、比べてみれば一目瞭然。
いやあ、実は純正のがどっか行っちまいましてね。
代用としてバーラップのフォルスタンを装着しております。
経年変化の差、というよりもベジタブルタンのが日焼けしやすいのではないか、と推察しております。
ベジタブルタンニング――――
直訳すれば、まんま植物鞣しです。
革好きならば必ず目にする耳にする”クロム鞣し”と”ベジタブルタンニング”ですが、薬品で鞣すのか植物の汁(タンニン)で鞣すのかの違いです。
クロム鞣しに比べると、ベジタブルタンニングはコストも手間も倍以上かかるので、植物鞣しでしか得られない革本来の雰囲気や経年変化を楽しみたい人向けに、少量だけしか作っていないようです。その分、高価になってしまいます。
とまあ、素人がブログで薄っすい知識をひけらかしていますが、そもそも"鞣し"って何だよ? 動物から皮剥いでそのまんま靴とか財布に出来ないのかよ!?
なんて、思ったりしませんでしたか?
小学生の頃に読んだ漫画、タイトルは忘れましたが原始時代が舞台の作品に、狩ったウサギの皮をガジガジしながら「生皮は噛んで唾液に馴染ませると、柔らかくなるし腐らなくなるんだ」なんてシーンがありまして。
「マジかよ? やってみたい!」と幼心に思い立ちましたが、小学生の身近に剥いだばかりの生の皮なんてあるワケも無く、なんとなく”生皮は噛むと柔らか腐らない”なんて中途半端な知識だけが少年の脳の片隅に残りました。
そして数年後、中学生の生物の授業にて、唾液にはタンパク質を柔らかく変質させる消化酵素がある事を知りました。更には口腔内の健康を保つために殺菌作用まである。
原始時代すげぇ! 昔の人は化学知識のないまま、どうして唾液で革を鞣す事を知ったのだろうか!?
多分、皮に残った肉を余す事なくしゃぶり尽くした後も、口さみしいからガジガジやっていたんじゃないでしょうか? そして残った革を何かに利用した際に、「あれ? ガジガジした皮は腐りにくいような?」と気が付いた……そんな感じでしょうか?
物事を考察するのは楽しいっすね。
長くなりましたが、ブーツ本来の話に戻しましょう。
ヒール部は、あんまりクビレが見られないストンとしたフォルムです。
これは個体差なのか、それとも木型が違うのか?
個人的にウエスコのブーツの好きな部分は、このステッチワーク。
分厚い革を馬力のあるミシンでガガガッと縫ったであろう物語が見てとれます。
そして、細い糸2本と太い糸のコンビがデザイン的にも良い。同じ太さで縫わないのが乙。
作りの精巧さは安藤製靴のジェルミが圧倒的ですが、ウエスコのジョブマスターには何とも説明し難い魅力が溢れています。質実剛健な用の美とでも申しますか。
ちなみにこいつも目白のシューリペア店glueにて疑似アーチイーズ付きレザーインソールを装着しております。