カーフ・キップ・カウ……牛革にも色々ある。
昨日、アディクトクローズのジャケットの記事を書きつつ、
「牛革については検索すんのが早い」と書いてしまいましたが、
自分のブログの中でリンク作っとけばイイじゃない、と思い立って記事にする次第です。
ところで牛革、って英語で何て言うんだ?
さっそくネット辞書で調べてみたら、”cow hide"って出やがった。
ちょっと待て。いくら英語に弱いオレでも”COW”は雌牛だって知ってるぞ。
しかも革は”LEATHER”じゃないのか?
釈然としないまま、他には無いのかと検索を続けると、”bull leather"とか”ox hide"なんて出てきやがる。
おいおい、一体、なんて呼ぶのが正しいんだ?
とりあえず美容室AMRTAのお客さんである、翻訳家の田栗美奈子さんに聞いてみよう。
ちなみに田栗さんはベストセラー『ITと呼ばれた子』の翻訳をされた、英語のプロフェッショナルです。
さて、それまで自分の知る情報を整理してみるか。
まずは手持ちのアイテムでもって、若い順に並べようと思う。
カーフ(Calf)は生後6か月以内の子牛の革です。
キメが細かくツヤツヤスベスベ。ピンとしたハリがあるのに柔軟性も高いのが特徴だが、子牛の革だけあって面積が小さく、薄く繊細。故にカバンや財布など、薄さが求められる革小物に最適な高級素材。
キップ(Kip)は、生後6か月~2年の成牛には満たない若い牛の革。人間にすると10代って事ですかね。
カーフに比べて肉厚で丈夫だが、キメの細かさには劣る。面積は大きいので用途は広い。
生後2年以上の性成熟した雌牛のうち、出産経験のある牛の革。牛乳絞れる牛ね。
世間一般に”牛”っていうと、ホルスタインの乳牛をイメージするから”牛=COW”って認識になっているんじゃなかろうか?
なお、カーフやキップに比べるとキメの細かさや繊細さには大きく劣るが、一般的な牛なだけあって供給に不足無し。安定価格なため、多く流通している。
ステア(Steer)は、生後3~6か月以内に去勢され、生後2年以上経った雄牛の革。
主に食肉といえばステアで、故に革としての流通量も最も多くなります。
特に注釈が無ければ牛革=ステアで間違いないそうです。
雄牛は去勢すると大人しくなって、扱いやすくなるんですって。
競走馬も気性が悪くて能力が発揮出来ない奴は、去勢してセン馬にしちゃいますね。古いトコだとJC勝ちのマーベラスクラウン。セン馬って、ウマ娘だとどんな扱いになるんでしょうね?
話が逸れましたが、去勢すると肉質が柔らかくなって美味しく頂けるそうです。
ブル(Bull)は去勢していない生後3年以上経った雄牛です。
肉にもならず去勢もされてないって事で、大抵は種牛だそうです。
人間にしてみりゃ夢のハーレム生活かも知れませんが、受胎率が悪かったり子供の出来がイマイチだったりすると、お役御免で革にされちゃったりと経済動物の世界は厳しい。
素材としては、首・肩の部分が非常にブ厚いので、靴底や工業製品に使われることが多い。
画像はホワイツブーツのブルハイドですが、ゴツゴツした見た目に反して、フニャフニャと柔らかく、コシが無い革です。
と、ザッと並べてみましたが、牛革といっても様々な種類・用途があるワケで、更には馬・豚・羊などなど色んな動物の革があります。
革は魅力ある自然素材ですが、もともとは命ある生き物の一部です。
毎日の食事のたびに「いただきます」を言うのと同じく、感謝を忘れずにいたいですね。